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格闘技論R60 〜盤上の格闘技!
 
 格闘技、球技、その他あらゆる競技の勝敗は点数で明示され、審判が勝敗を分ける。
しかし、自ら「負けました」と宣告する唯一の競技がある。
将棋である。
思考力、構想力が身に付くだけでなく、潔さ、礼儀が自然と身に付き、スポーツと同じくらい子供に勧めたい競技だ。
「格闘技論で、何で将棋?」と思うかもしれないが、元々が模擬戦争を盤上で楽しむために考案されたものであり、特に織田信長ら戦国武将は好んで指し、「美濃囲い」といった基本戦法はほとんどこの頃確立されている。
日本には奈良時代にその原型が伝えられ、江戸時代には最盛期を迎える。
よく、「史上最強の天才棋士は?」という論争になると、「羽生善治か天野宗歩か」と言われるが、天野宗歩は江戸時代の棋士である。
江戸時代のものが今なお通用し、下手すれば今より強いものなど将棋くらいではないか! 棋譜がちゃんと残っているので、そのレベルも検証できる。
また、江戸時代に発刊された詰め将棋の名著「詰むや詰まざるや」は現代のプロ棋士も修行のために勉強している最古の参考書である。
その書は6百手詰め(普通の問題は5〜13手詰め)という、およそ非実戦的な問題ばかりで、これが役に立つのかと思うが、その6百手詰めを完成させるまで徹底的に考えるところに意味があるという。
私も後輩が奇遇にもこの書を手に入れ贈呈されたが、1問も解けていない。
オセロやチェスなど、人間がコンピューターに勝てないが、将棋だけは人間の方が当分強いのではないか? 所詮コンピューターはデータ管理能力止まり。
「気迫の一手」「新たな試行」など、人間ドラマがない。
私はスポーツ選手にぜひ将棋の奥深さを知ってもらいたい。
ただ単に暇なおじさんの遊びでは決して、ない。
先号登場した連合艦隊司令長官・山本五十六や元ヤクルトの古田敦也、日体大レスリング部19連覇の金字塔を打ち立てた藤本英雄監督ら智将、策士と呼ばれた人に将棋愛好者が多い。
将棋は人生に似ている。
調子よいときこそ手堅く急がず指し、絶体絶命になってもあきらめず、最強の応手を考え打開する。
全身全霊男が向かい合って1対1で戦うものは、私は格闘技だと定義づけたい。
 
 (フリードリッヒ)
 

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