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格闘技論R58 〜カール・ゴッチを語り継ぐ
 
 今年の夏、日本マット界に多大なる影響を与えた偉大なるレスラーが亡くなった。
「神様」カール・ゴッチである。
プロレス界のみならずゴッチの名は絶大である。
20世紀最大のレスラー「鉄人」ルー・テーズも年下のゴッチを一目置き、また、私が全国少年レスリング大会の会場で、ザ・デストロイヤーに「あなたが強いと思うレスラーベスト5人は?」と聞いたところ、ジャック・ブリスコ、バーン・ガニア、ビリー・ワトソン、ディック・ハットン、そして最後にカール・ゴッチの名を力強く挙げた。
その強さゆえに全米のプロモーターから敬遠され試合から干されることが多かったため、現役としてはメジャー街道を歩んでいない。
しかし、日本はそんな求道者のようなゴッチを救う土壌があった。
新日本プロレスの旗揚げ戦は猪木VSゴッチという、新団体の方針をアピールするにはこれ以上ないカードで始まった。
それからというもの、UWFを立ち上げれば最高顧問に迎え入れるなど、権威付けのためにゴッチというブランドに頼った。ゴッチの強さを骨の髄まで知っているのは、今となっては猪木とビル・ロビンソンくらいだろう。そのロビンソンは「グレーシーなんかとは格が違う」と評している。
ゴッチがここまで神格化されたのは、やはり猪木の師匠であったいうことに尽きる。
ゴッチが「密林王」グレート・アントニオをセメントでKOした試合が猪木に多大な影響を与えた。
猪木のほか藤原、前田、佐山、高田らUWF戦士を育て上げ、指導者としても一流である。
「レスラーは超人でなければならない」とばかりに陸上選手や体操選手、重量挙げ選手のエッセンスを叩き込み、チェスの頭脳も必要だと説いた。
ゴッチは自らに対しても強烈にストイック。
虫歯ができたときは「歯があるから虫歯になる」と、いい歯も全部抜いてしまったというエピソードは有名である。
私が大学3年のとき、ゴッチが佐山と一緒にレスリング部の道場にも来てくれた。
地味だがきつい基礎体力練習。
その時私とツーショットで撮った写真を今でも玄関に飾っている。
「おっ、カール・ゴッチですね?」とほとんどの来客が反応する。
ゴッチの話は語り尽くせない。
 
 (フリードリッヒ)
 

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