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格闘技論R55 〜私見。桜庭論
何を見せたかったのか?
何を伝えたかったのか?
何を表したかったのか?
HEROSロサンゼルス大会で行われた桜庭和志VSホイス・グレーシーの一戦である。
今さらなぜこの試合が組まれたのか、それ自体不思議だったが、こういうときこそプロなら、モチベーションを高め、あるテーマを設定し、ファンに何かを見せなければならない。
私ならここは、熟練した両者ならではの昇華した、水墨画のような清明な技術の攻防を期待した。
桜庭の常々、「お客さんが楽しめる試合を心がけている」と公言している。
しかし、結局桜庭とホイスは何も見せられなかった。
真剣勝負であればあるほど、つまらない試合になりがちだが、今回はそれをも超えて、両者のモチベーションの低さが露呈されていた。
桜庭の試合はもう見たくない!
桜庭はもう終わった選手だ!
そんな声がやたら耳に入ってきた。
だが、昔から桜庭を知っている者にしてみれば、ある意味「非常に桜庭らしい試合」だった。
どういうことかというと、中大レスリング時代も、相手が強敵であればあるほど桜庭は燃えた。
特に、学校の威信を背負った団体戦においては、大物食いを何度もした。
しかし、さほど強くない選手あるいは無名選手とやるときはまったく気分が乗らず、大ポカも結構あった。
思い出すのは私が大学3年のリーグ戦。
当時ケガで絶不調だった私の穴を桜庭が見事埋めてくれた。
次々と大物を倒し、中大がリーグ優勝。
その桜庭が大学4年のインカレでは、某大の無名選手に1回戦で敗れた。
そのときも、内心悔しかっただろうが、涼しげな顔をして笑さえ浮かべていた。
ホイス戦で敗れ、エリオと笑顔で握手したシーンを見て、当時のことを思い出した。
桜庭にとって、試合は自分だけのもの。元々試合は大好き。
「人の期待?そんなのバカくせえっすよ」。
そんな声が聞こえそうだ。
もし桜庭がこの記事を見たら、怒るかもしれない。
これは私見の桜庭論だ。
そういう一面もあると思いつつ、今後桜庭の試合を見ると楽しめるのではないか。
(フリードリッヒ)
