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ひとりごと 89号
 
 ある中学野球の大会でのこと。何人かの選手の投げ方が気になった。
球を握った手をいきなり上に挙げ、前に押し出すように投げる野手。
サイドスローで送球する捕手など。
あまり気になったので、妙な投げ方をする選手に聞いてみた。
「君は球の投げ方を習った事はあるの?」「記憶にない」という応えであった。
試しに他の選手にも聞いてみた。
やはり応えは「特に」とか「ありません」だった。
私も以前、中学野球部の練習のお手伝いをしたことがある。
その時、妙な投げ方をする選手に指導をしたことがあった。
練習の時は正しいフォームで投げられるのに、試合になると元に戻ってしまう。
この繰り返しで卒業まで直らなかった。
他の指導者にも聞いてみたが、投げ方の矯正は特に難しいそうだ。
理想を言えば、小学校低学年の頃に正しい投げ方を教えることだと言う。
私も同感である。
野球をするなら出来るだけ早い時期に正しい投げ方を身につける必要がある。
なぜなら、理にかなった投げ方をしないと、肘や肩などに重大な障害が発生しやすいからだ。
そして、無理な矯正は「イップス」と呼ばれる精神的ストレスによる運動障害を起こすことにもなる。
最近のスポーツ科学の発展はめざましく、幾つもの過去の定説が覆りつつある。
私たちが教わってきた定説もしかり、学術的な根拠があるわけでもない。
検証すら行われていないのだ。
今後は、関節の動きや筋の役割、動作解析などの視点から野球の指導を見つめてみたいと思う。

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